
写真:坪島 遊
秋になると水辺では実に多彩なイベントが行われる。
9月の第2日曜日(今年は11日だった)には猿猴川の大正橋から平和橋までの西側緑地で「猿猴川河童まつり」が開かれる。今年で14回目。猿猴川をきれいにし、町を元気にという趣旨だ。河岸にずらりとフリーマーケットやバザーが並び、猿猴=河童に扮(ふん)する人も登場する。地元が中心になって協賛を募り多くの方が協力されている。水辺のイベントの中でも最もにぎわいのあるものの一つだ。雁木タクシーにも子供たちがたくさん乗ってくれる。
10月2日の日曜日には本川の中央公園西側緑地で「砂持(すなもち)加勢まつり」が開催された。洪水を防ぎ、船の運航を容易にするために川に溜まった砂をさらう作業=砂持ちを応援=加勢するという祭りだ。幕末に町民が藩に願い出て費用を半分負担する代わりに許可された。町ごとにそれぞれ趣向を凝らした山車を作り、扮装、踊りで何日も城下はにぎわった。
この町衆の心意気にあやかり、水の都らしい祭りを再現し、まちの活性化に役立てたいと3年前に始まった地元組織や市民活動団体などが実行委員会をつくり雁木組も参加している。公民館に集まる方や小学校、市民活動団体が山車を作り、パフォーマンスを行うほか紙芝居、太鼓、木遣りなどが披露される。昔、白島の堤防を固めるために藩から許可された踊りも楽しめる。どこか懐かしく川の祭りにふさわしいものにと思っているが、今年は子供たちのカヌー体験が大人気だった。
11月の最後の金曜日(今年は25日)、「雁木クリスマス&水辺ジャズ」というイベントを京橋のたもとで開催する。雁木組が呼びかけて地元の方と実施するようになり今年で5回目。周辺に残る古い雁木を通じて川とまちの関係を考えるきっかけにしてもらい、仕事帰りにジャズの生演奏を楽しもうという趣旨だ。事前に町内の方と一緒に古い雁木と護岸の清掃を行うほか当日はロウソクの灯で雁木を装う。実行委員長の稲荷町町内会会長、秋田正洋さん(60)は「この辺りは水辺の町なので何かできないかと考えていた。このイベントは地元にとってもうれしいことだ。大事なことは地元が主体的に動くこと。今後も続けていくが、もっとイベントを増やしていきたい」と、これからの抱負を話された。
この他の水辺でも場所ごとに特徴的なイベントを地元が主体的に関わって実施されていて、頼もしいかぎりだ。この調子で続けていけば、みんな、もっと水辺が好きになる!
文:山崎学=NPO法人雁木組理事(2011年10月20日 毎日新聞「雁木だより」から)
